
自立の教科書 第2章 / 03 of 03 / 全文無料
休みを先に入れないと、
続きません
一人でやっていると、休む=売上が止まる、になります。だから休みを削りたくなる。でも削り続けた先に「ずっと続ける」はありません。
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最後は、続ける話です。
一人治療家として、ずっと続けたい。そう思っている方は多いはずです。僕もそうです。組織を大きくしたいわけではなく、現場に立ち続けたい。
では、続けるにはどうしたらいいか。答えはシンプルで、休みを入れることです。
一人でやっていると、休む=売上が止まる、になります。だから休みを削りたくなる。気持ちはよく分かります。でも、削り続けた先に「ずっと続ける」はありません。
この章では、僕が12年で休み方を4回変えた記録を、全部出します。増やして良かった話も、増やしすぎて戻した話もあります。
開業1年目、僕は休みを決めていませんでした

ここまで書くと「最初から計画的にやってきた人」と思われるかもしれませんが、まったく違います。
開業1年目の僕は、休みをしっかり設けていませんでした。

形の上では「日曜休み」と言っていました。でも、日曜に「どうしても入りたい」という患者さんがいたら、普通に入れていたんです。
なぜ入れていたのか。「今、患者さんが求めている。今入れないとこの患者さんは来れない」と思って、そちらを優先していたからです。
優しさのつもり、サービス精神のつもりでした。でも、これが僕を追い詰めました。
休んでいるはずなのに、休めていない
物理的に時間がない、というより、「もしかしたら今日も予約が入るかもしれない」と気持ちが常に仕事モードのまま。休んでいるはずなのに、休めていない。
家族との関係も、少し良くない時期がありました。仕事の頭のままで家族と接していたので、ちょっとしたことでぶつかりやすくなっていました。
そして自分自身、いつ休めているのか分からない。常に交感神経過緊張のままで過ごしていました。
ここに、決定的な矛盾があります
僕たち治療家は、患者さんに対して「交感神経過緊張こそが不調の原因です」と説明しています。
それなのに、自分自身が交感神経過緊張のままで臨床に立っている。
これ、本末転倒じゃないですか。
このことに気づいたのが2年目で、そこから休みをしっかり取るように変えていきました。
前の2章と、ここが繋がっています
第1章で、僕は通院指導が言えなかったと書きました。第2章で、200万円という数字に囚われたと書きました。
この章の1年目の失敗は、その両方と地続きです。
「日曜に入れてしまう」のは、通院指導ができなかったのと同じ理由です。目の前の患者さんに嫌な顔をされたくない。 そのために、自分の枠を崩していた。
第1章では「言えなかった」ことで枠を作れなかった。この章では「断れなかった」ことで枠を壊していた。どちらも同じ根っこです。
11ヶ月走って、1ヶ月で熱を出していた
参考までに、独立前のJリーグトレーナー時代の話もしておきます。
トレーナー時代は、11ヶ月仕事をして1ヶ月休むというサイクルでした。これはこれで悪くなかったんです。
ただ、その1ヶ月の休みに入ると、毎年のように大熱を出していました。ずっと走り続けていた緊張が一気に抜けて、身体が「もう限界です」と悲鳴を上げる。
人間は環境にうまく合わせられる生き物なので、そのサイクルでも回せました。でも、ずっと続けられたかと言われると、僕はできなかった。このサイクルは10年が限度でした。
だからこそ、独立してからは「年間を通して一定のリズムで休める仕組み」を作る方向に振りました。
ここで一つ、言葉を整理させてください。「休めている」と「倒れていない」は違います。 11ヶ月走れていたのは、休めていたからではなく、倒れる前だっただけです。年に1回熱を出すというのは、身体が出していた請求書でした。
週休2日にしたら、売上が上がりました

ここから、実際に変えた記録です。
開業2年目の6月、月商89万円に到達しました。週6日、日曜だけ休みです。休みの重要性はもともと分かっていたので、日曜はしっかり休むようになっていました。

89万円。開業初月6万円からここまで来たのだから、順調と言えば順調でした。
でも、予約率は8割くらいで、100万円には届かない。「こんなもんかな」と思っていました。週6日でやれることはやっている。まあこれが自分の限界なのかな、と。
変えたきっかけは、2つ重なりました
① 年末最後の日に、ドッと疲労が出た
2年目の12月、年末最後の施術が終わったときのことです。充実感と同時に、ドッと疲労が出ました。
「これをずっと続けるのは厳しいんじゃないか」——そう感じた瞬間でした。普段は疲れを感じにくいのですが、この日だけは身体にきました。
② JC(青年会議所)の委員長に任命された
もう一つのきっかけは、JCで委員長に任命されたことです。委員会の活動に時間を割かなくてはいけない。週6日働いていたら、その時間が取れない。これが直接的な理由として大きかったです。
正直、「休む=サボる」とは思っていませんでした。もともと休みの大切さは分かっていたので、日曜はしっかり休んでいました。
ただ、週6日を週5日に減らすとなると、やはり怖さはありました。
「せざるを得ない」——最初はそういう感覚だったと思います。
ここも正直に書いておきます。僕は自分の意志で休みを増やしたわけではありません。 外から予定を突っ込まれて、そうせざるを得なくなった。だから、もしあなたが「自分の意志では休めない」と思っているなら、それは普通です。先に予定を入れてしまうのが一番速いという話でもあります。
週休2日にして、変わったこと
水曜と日曜を定休日にしました。週6日から週5日への変更です。
① メリハリがついた
施術の質が目に見えて上がったかは、正直分かりません。患者さんから「良くなったね」と言われたこともありません。ただ、生活にメリハリがついたのは確かです。中休みがあることで、リズムが生まれました。
② 予約が集中した
稼働日が減ったことで、患者さんが来られる日が絞られます。結果として、1日あたりの予約枠が埋まりやすくなりました。 週6日でまばらに入っていた予約が、週5日にギュッと凝縮された。これは事実として大きな変化でした。
③ 患者さんもリズムがついた
週休2日にしたことで、患者さんにとっても「この曜日に通う」というリズムが生まれたように感じます。定休日がはっきりしているほうが、予約を入れやすいのかもしれません。
月商100万円の壁を、突破しました
週休2日に変えて、施術スタイルも30分・週2回の提案に切り替えた2016年2月。すぐに月商100万円を突破しました。
ただし正直に言うと、この100万円は回数券の購入も含めた数字です。実際に患者さんが来院した分の実売上で100万円を突破したのは、2016年5月でした。
いずれにしても、稼働日を減らしたのに売上は上がりました。
「時間を増やす」ではなく「密度を上げる」への転換が効きました。
第1章で書いた売上の公式(カルテ枚数 × 単価 × 来院頻度)を思い出してください。このとき僕がやったのは、稼働時間を減らしながら、単価と頻度を上げたということです。稼働時間は、公式に入っていません。
患者さんは、離れたか?
「休みを増やしたら患者さんが離れるんじゃないか」
これ、休めない治療家の最大の不安だと思います。正直にお伝えします。
日曜にしか来られない患者さんは、離れました。
これは事実です。きれいごとは書きません。
ただ、その方たちは別の鍼灸院・整体院でやっているところに行っていただければいい。僕のところに来られない事情があるわけですから、そこは無理に引き止めなくていいんです。
そして残った(あるいは新しく来てくれた)患者さんは、「先生は水曜と土曜の午後と、日曜は休む」と最初から知ってくれているので、その日を避けて予約してくれます。
最初の頃は日曜に電話が鳴って出ていましたが、それも徐々になくなり、今は完全にスケジュール通りに仕事ができています。
ここは時間が解決します。離れる方が出るのは、切り替えた最初の数ヶ月だけです。1年経つと、あなたの休みを知っている患者さんだけが残ります。
【いまの形】12年後のスケジュール

ここからが、いまの形です。まず表で出します。
| 曜日 | 営業 |
|---|---|
| 月・火・木・金 | 通常営業(9:00-12:00 / 16:00-19:00) |
| 水・土 | 午前のみ(9:00-12:00) |
| 日 | 完全休業 |
長期休みは固定です。
| 期間 | 日数 |
|---|---|
| お盆休み | 3日間 |
| 年末年始 | 6日間 |
そして、祝日は基本的に通常スケジュール通りです。ゴールデンウィークも、お盆・正月以外は通常通り営業しています。
水曜・土曜の午後は完全オフ。海でのライフセービング、家族との時間、自分のトレーニング、ポッドキャストや書籍の制作などに充てています。
なぜ、祝日に営業するのか
「休みを取れ」と言っている僕が、ゴールデンウィークに営業している。矛盾に見えると思うので、理由を書きます。
リズムを優先しているからです。

患者さんは、状態によりますが、定期的に・期間と頻度を決めて施術したほうが効果が上がるケースが多いです。祝日でも、来られる方は来られます。そういう方にしっかり施術して、回復のスパイラルに入っていただきたい。
「この日に来たかったのに先生が休みだった」で間が空いてしまうと、せっかく良くなりかけていた状態がリセットされてしまうこともあります。
これは僕のためでもあり、患者さんの回復のためでもあります。
第1章で「8回目で検査して頻度を修正する」と書きました。あの型は、リズムが崩れないことを前提にしています。 祝日でカレンダーが毎月違う形になると、8回の設計が壊れる。だから祝日を通常営業にしています。
もちろん、子どもたちの大会など家族のイレギュラーが入るときは休みます。
年に何日休むかではなく、いつ休むかを決めています
僕の休みの設計は、日数ではなく位置で決まっています。
- 毎週 … 水・土の午後、日曜終日
- 毎年 … お盆3日、年末年始6日
- 不定期 … 子どもたちの大会で、僕がどうしても行かなければいけないもの
この3層目について、一つルールがあります。大会で休むときは土日を休みにします。 ただし、土曜はできるだけ休まないように心がけています。
理由は、土曜の午前が動いているからです。土曜を休むと、平日に来られない患者さんの行き先がなくなります。だから、動かせるなら日曜側で吸収する。 休みを増やすときにも、患者さんの導線から考えます。
患者さんへの共有は、受付のカレンダーでやっています
「休みが患者さんと共有できているか」は、この章でずっと言っている条件です。うちでの実際のやり方を書きます。
受付のところに、カレンダーがあります。 そこで見せて、口頭でもお伝えします。そして、受付の方が伝えてくれています。
紙のカレンダーです。特別なシステムではありません。でも、これが一番確実です。会計のときに必ず全員の目に入る場所に、休みが貼ってある。
第1章で「回数券を買ったらまとめ予約を入れてもらう」と書きました。そのまとめ予約を入れるときに、このカレンダーを見ながら入れます。 だから、休みと予約が食い違いません。
受付がいる日と、いない日
うちは受付が午前と午後で1人ずつ来てくれていますが、いない時間帯もあります。
回し方は変えていません。 ただ、僕一人のときは電話を取らなければいけないので、時間がずれることがあります。
そのときは、患者さんに「ごめんなさい」とお伝えしています。
ここは格好つけようがないところです。一人治療院で、施術中に電話が鳴れば、どちらかが待ちます。隠さず謝るというのが、いまの僕の答えです。そして、だからこそ予約の仕組みを整える価値があります(教科書 第5章)。
一度、週休3日にしていました。そして戻しました

ここが、この章でいちばんお伝えしたいところかもしれません。
僕は一時期、週休3日にしていました。水曜・土曜・日曜を休みにしていた時期があります。

そして、いまの形に戻しました。 戻したきっかけは、JCの卒業です。
なぜ戻したのか
理由は2つです。
① 僕自身が、仕事が好きだから
これは単純な話です。休みが3日あると、僕にはちょっと多かった。
第2章で「鍼灸を続ける意味あるの?」という問いに「だって、好きだから」と答えました。同じことです。好きな仕事を減らしすぎると、僕は満たされませんでした。
② 週休3日だと、患者さんの予定変更のときに苦しくなるから
これが実務的な理由で、たぶんこちらのほうが大事です。
稼働日が4日しかないと、患者さんが1回振り替えたいと言ったときに、入れる場所がありません。
第1章で、僕は「週1回を8回」「状態が良くない方は週2回以上」という設計を書きました。週2回で通っている方が1回ずらしたい。そのとき稼働が4日だと、もうその週には入れられないんです。
すると、頻度が崩れます。頻度が崩れると、8回で測り直すという設計も崩れます。休みを増やしたことで、患者さんの回復設計が壊れ始めたということです。
ここから引き出せる教訓
だから、この章の主張は「休みは多いほど良い」ではありません。
休みは、増やしすぎても壊れます。
僕は、週6日 → 週休2日 → 週休3日 → いまの形(水土午前営業+日曜休み)と、4回変えています。そしていまの形は、週休3日より働いています。
増やして良かった(週6日 → 週休2日)。増やしすぎて戻した(週休3日 → いま)。両方経験して、やっと自分の適量が分かりました。
正解は人によって違います。だから僕は、あなたに僕のスケジュールを真似してほしいとは思っていません。 次に書く2つの質問だけ、持っていってください。
そして、JCの卒業が節目になりました
戻したタイミングが「JCの卒業」だったのには、意味があります。
そもそも週休2日にしたきっかけが、JCの委員長就任でした。休みを増やしたのは、地域の活動に時間を使うためです。
そのJCを卒業した。だから、空いた時間の置き場所を決め直す必要があった。
このとき僕は、その時間を仕事に半分戻し、残りを家族に振りました。次の「4つの時間」の話に繋がります。
大事なのは、コントロールできているか

判断基準として、2つの質問を置いておきます。
- 自分でしっかりオン/オフを切り替える仕組みが作れているか
- 休みが患者さんとしっかり共有できているか
この2つにYESと答えられるなら、休み方の形は何でもいいです。GWに10連休するのも全然OKです。僕のように「祝日関係なくリズム重視で定期的にやる」のもOKです。
大事なのは、自分でコントロールできているか/休めているか。ここで判断するといいと思います。
うちの場合、1番目の答えは「水・土の午後と日曜を固定した」こと。2番目の答えは「受付のカレンダー」です。どちらも、たいした仕組みではありません。 決めて、貼って、伝える。それだけです。
一番怖いのは「予約が入らないから休み」になること
最後に、一番気をつけてほしいことをお伝えします。
「予約が入らないから今日は休もう」
これ、一見すると休めているように見えますが、まったく休めていません。なぜなら、予約が入る可能性をずっと気にしながら過ごす日になるからです。
「電話鳴ったら出なきゃ」「キャンセル分埋まらないかな」と頭の片隅で考え続ける。これだと結局、交感神経過緊張のままです。これは絶対に避けてください。
開業1年目の僕が「日曜に入れていた」のは、これの裏返しです。休みが「空き枠」になっている状態では、どれだけ日数があっても休めません。
ぜひ、前もってスケジュールに休みを入れること。「この日は休み」と決めて、自分にも患者さんにも宣言する。これが、本当の意味で休める治療家への第一歩です。
「休んだら売上が落ちる」への答え
最初の問いに戻ります。「休んだら売上が落ちるんじゃないか?」
短期的には、起こるかもしれません。休んだ日の売上が、その月の売上に直接響くこともあるでしょう。日曜にしか来られない患者さんは、実際に離れました。
でも長期的に見たら、絶対に起こりません。なぜなら、休めない治療家は長くは続けられないからです。
そして僕の場合、短期でも落ちませんでした。 週6日から週5日にして、月商は89万円から100万円を超えました。減ったのは稼働日で、増えたのは密度です。
数ヶ月や1年の売上ではなく、5年・10年・20年の売上で考えてください。トータルの売上で見たら、休んでいるほうが上です。
もう一つ、一人治療院に固有の理由があります。最大のリスクは「自分が倒れたら終わり」ということです。
売上がゼロになるのは、休んだ日ではありません。倒れた日からです。 休みは、その日を遠ざけるための投資です。
なぜ「続けられる経営」にこだわるのか
僕たちの仕事、鍼灸・マッサージ業はずっと続けていくものです。
5年や10年で辞めるつもりで開業した治療家の先生は、まずいないと思います。
ずっと続けていくならば、自分が心身共に良い状態でなければいけません。治療家は皆、一生臨床の場に立っていたいはずです。
だからこそ、休みをしっかり取り、自分なりに回復できるサイクルを作ったうえで仕事をする。これが、長く続けるための土台になります。
「先生がいなくても回る仕組み」への、違和感

ここで、僕がずっと引っかかっていたことを書きます。この章の前提そのものの話です。
僕は過去に、青年会議所やアチーブメントの経営者セミナーに通っていた時期があります。そこで分かったのは、経営者の集まりの空気は「拡大思考」一色だということです。
中小企業の経営者の方々は、売上を伸ばす/店舗を増やす/従業員を増やす/仕組みを大きくする——これを当たり前の前提として動いています。
そこに一人治療家として混ざると、必ず出てくるフレーズがあります。
「先生がいなくても回る仕組みを作らないとダメだよ」
理由は単純で、その世界観の中では「事業は拡大していくもの」だからです。先生がいないと回らない=事業として弱い。仕組みで回るように組み立てる=経営者として正解。
これは中小企業経営の文脈では、確かに正解の一つです。ただ、これは一人治療家にとっての正解とは限りません。
僕は表向きは「あ、そうですね」と返していました。ただ心の中では、ずっと違和感がありました。
「いや、自分は一生臨床に立ちたいんだけどな……」
この違和感を言語化することに、長い時間がかかりました。
経営者と臨床家は、まったく別物です
「先生がいなくても回る仕組み」をつくるとは、突き詰めると経営者の仲間入りをするということです。
その流れの先には、こういう動線が必ず出てきます。
- 経営の意思決定に時間を使う
- 数字とマネジメントを優先する
- 臨床にいる時間が減っていく
- やがて臨床から離れる
これは、自分の一番の楽しみを手放すことではないでしょうか。
経営セミナーで「グループが大きくなっている先生」を観察してきました。その方々はだいたい、もう臨床に立っていないんです。経営者になっていらっしゃる。
それはそれで素晴らしいです。元々経営者気質の方なのでしょう。ただ、僕の文脈で言えば「いや、ずっと臨床に立っていたいんですよ」と言いたい。
だから、道は2つに分かれます
この感覚に気づいてから、僕は経営の世界が二極化していくと確信しました。
- 拡大路線 … 経営のプロとして大きくする道
- 個人で深く尖る道 … 一生現役でいる道

どちらが正解ではありません。 大事なのは、自分がどちらの道に向いているかを、最初に決めることです。
そして、この章の内容が意味を持つのは、後者を選んだ人だけです。拡大を選ぶなら、休みの設計はもっと別の形になります。
「一国一城の主」の本能
ここからは僕の偏見も入りますが、おそらく多くの治療家が共感してくれるはずです。
鍼灸師たるもの、本来「ずっと自分の手で患者さんを良くしていきたい」と考えているはずです。
- 自分の判断で施術を組み立てたい
- 自分の手の感触で変化を感じたい
- 患者さんの「ありがとう」を直接受け取りたい
この衝動こそが、治療家として続けてこられた原動力だと思うんです。
僕の感覚では、鍼灸師・整体師には「一国一城の主になりたい」という本能があります。何人かで切磋琢磨するのは、一時的にはできます。ただ永久には続かない。それぞれが自分の手で、自分の判断で、自分の城を構えていきたい。これが本能なんだと思います。
「先生は下を育てるつもりはないんですか?」と聞かれることもあります。正直、ありません。ただ、僕と同じ感覚を持っている人たちのサポートはしたい。
その形として僕が選んだのが「教材」というスタイルでした。自分で立てるようになる手助けをするためのもの。 それが合同会社e-lifeを立ち上げた理由で、あなたがいま読んでいるこの教科書がそれです。
では、一生臨床に立つにはどうするか
「一生臨床に立ちたい」と決めたとして、では具体的にどうするのか。
僕の答えは、一人で全部ができる状態になっておくことです。
- 経営者の意識を持つ
- 経理を自分で見る
- 発信を自分でやる
- 営業を自分でやる
- AIで自分の手数を増やす
これを全部、自分でやれるようにしておく。そのうえで、大好きな臨床をずっとやっていく。
これまで「全部自分でやる」は、現実的ではありませんでした。時間が足りないからです。
でも、いまは状況が変わりました。
| 仕事 | いまの手段 |
|---|---|
| 経理 | AIで自動化 |
| 発信 | 文字起こし+AIで多媒体に展開 |
| 営業 | SNS+AIで広く届く |
| 集客の仕組み | AIで設計して運用 |
一人でやれることの上限が、大きく上がっています。
だから、この教科書はAI自立化の話をしています。AIは、拡大するための道具ではなく、拡大せずに済ませるための道具です。ここが、僕のいちばん言いたいところかもしれません。
もうひとつの道もあります
念のため書いておきます。この道だけが正解ではありません。
信頼する経営者の下で、自分は永久に臨床だけをやる。 これも素晴らしい選択肢です。数字も集客も人の管理も任せて、自分は一日中、患者さんを診る。
ただ、おそらく多くの治療家は「自分の城」を持ちたい本能があります。だから僕は、一人で全部やれる形を推しています。
これは、治療家だけの話ではありません
実は、この「一生現場にいたい」という流れは、治療家の世界だけのものではありません。
たとえばYouTubeでは、テレビ業界で本来なら経営側に回るような方が独立していく流れが、もう来ています。理由は明確で、一生現場にいたいからです。
- 出世して管理職になる
- 現場のプロでいる
この2つは、まったく別の問題です。
AI・SNS・クラウドの普及で、個人が一人で戦える土俵がどんどん広がっています。「現場のプロのまま、稼ぎ続ける」道は、これからもっと現実的になっていくと思います。
治療家も、この流れの一部です。
一人で回すリスクと、その対策


「1人でやるのは怖くないですか?」と聞かれます。正直、リスクはあります。3つに分けて書きます。
① 健康への投資
僕が一番大事にしているのは、自分自身の健康です。
- 定期的にしっかり休む
- ストレスを貯めない仕組みを作る
- リカバリーの時間を確保する
- 食事・運動を大事にする
自分が止まったら全部止まる。 だからこそ健康は最優先です。
ここで、この章の前半に戻ります。僕が祝日も営業しているのに水曜・土曜の午後と日曜を固定で休むのは、これが理由です。 稼働を増やすことと、健康を削ることは、別のことにしないといけない。
そして僕たちは治療家です。自分の身体が商品であり、同時に自分の身体が広告です。交感神経過緊張のままで臨床に立っている治療家に、患者さんは自律神経の話を聞きたいと思うでしょうか。
② 仕組みで、自分の手数を増やす
健康だけでは足りません。「仕組み化」で自分の手数を増やすことが必須です。
- 予約システムを自動化する
- メルマガ・LINE配信を自動化する
- 経理をAI+クラウドで自動化する
- 発信を文字起こし+AIで効率化する
人を増やすのではなく、仕組みを増やす。
ここが、この教科書の本体です。第4章・第5章で扱います。
なぜこれが「休む」話に関係あるのか。休んでいる間も動き続けるものを持たないと、休みが怖いままだからです。
僕の日曜は、僕が海にいる間も予約が受け付けられています。だから安心して海にいられる。休めるかどうかは、意志の問題ではなく、仕組みの問題です。
③ 自分の意思を100%反映できる強さ
リスクはありますが、自分の意思を100%反映できるという強みは、何にも代えがたいものです。
- 休みたいときに休める
- やりたいことをやれる
- 価値観を曲げる必要がない
- 患者さんと深く向き合える
これは拡大路線では絶対に得られない自由です。
そして、これが第2章とも繋がります。僕が「150万円でいい」と決められるのは、その決定を誰にも説明しなくていいからです。スタッフ・銀行・出資者に説明が要る立場なら、同じ決定はできません。
一人でやる最大の見返りは、額ではなく決定権です。
続けるために必要な、4つの時間

続けるために必要なのは、この4つの時間だと思っています。
- 休む時間 … 身体を戻す。ここが削れると、施術の質から先に落ちます
- 家族との時間 … 何のために働いているのかを見失わないための時間
- 地域との時間 … 一人治療院は、地域と深く関わるほど強くなります
- 自分の時間 … 技術を磨く、学び直す、身体を動かす
僕がほしかったのは、まさにこれでした。家族との時間。技術者として一生現場に立ち続ける自由。地域と関わりながら、人生を犠牲にしない働き方です。
【いまの形】僕の4つの時間は、実際こうなっています
ここは、教科書らしく整えずに、そのまま書きます。僕の4つの時間は、教科書的には正しくありません。
まず前提として、僕は基本的に「仕事」と「それ以外」という形で考えています。4つにきれいに分けていません。
休む時間
基本は積極的休養(アクティブレスト)になっています。じっとしている休みではありません。
- 身体を休めるのは、月曜日。 ただし、仕事はしています
- 仕事の休みは、日曜日。 ただし、海にいます
つまり、身体が休む日と、仕事が休む日が、別の日なんです。
地域との時間
基本は土日です。月2回の土日=月4日、ライフセービングのクラブ活動をしています。
これはJC時代の「地域」とは形が変わりました。会議ではなく、海です。
家族との時間
火・水・木・金・土・日はライフセービングをしているので、そこが家族の時間になっています。
僕自身は週6日をここに使っています。治療院を経営しながら、週6日です。妻は火・水・金・土・日の週5日。夫婦で、ほぼ同じ場所にいます。
家族の時間と地域の時間とスポーツの時間が、同じ場所で重なっているというのが、いまの僕の形です。これが成立しているのは、たぶん運が良いです。
重ねられるものは重ねる。 これは一人治療家にとって現実的な作戦だと思っています。4つの時間を4つ別々に確保しようとすると、時間が足りません。でも「家族と地域とスポーツが同じ海にある」なら、1日で3つ取れます。
ある週末の、実際の2日間
抽象的になってきたので、具体的な週末を書きます。
土曜日は、長男の運動会がありました。 普段は午前中診療なのですが、午前中から休みをいただいて、1日休みにして長男の運動会を見に行きました。子どもの成長をしっかり見られて、嬉しい時間でした。
妻はPTAの役をしているので、妻が頑張って仕事をしている中、僕と娘たちで長男の応援をすることができました。
日曜日はライフセービングの練習があり、午後は家族でビーチ練習をしました。 1日海にいて、トレーニングをしっかりできました。
実はこれは、40代になってからできていることなんです。
そして、この土曜日は「土曜はできるだけ休まない」というルールを破った日です。ルールは、破る日を決めるために作っています。 何も決めていないと、破っているかどうかも分かりません。
自分の時間
ここが、正直なところです。
自分ひとりの時間は、いまほとんど取っていません。
仕事のときを自分の時間だと思っているかもしれない、というのが一つ。あとはお風呂です。
なぜ、自分の時間を取らないのか
「4つの時間が必要だ」と書いておいて、自分は1つ取っていない。その理由を書きます。
いまは特殊な期間だと思っているからです。
子どもたちがライフセービングを一生懸命やりたいという時間で、それがいつ終わるか分かりません。
だから、その間はこの子たちの意思を重視したい。そう考えたので、自分の時間はいらないと思いました。
お手本は、井上兄弟と真吾トレーナーです
イメージしているのは、ボクシングの井上兄弟と、真吾トレーナーです。家族で世界を狙いに行く、というあの形です。
僕も名前が真吾なので、勝手にお手本にさせていただいて、ああいうふうに世界が取れたらいいなと思いながらやっています。
これは、結構特殊だと思います。普通の家族の歩み方とは、全然違うと思います。
それに付き合ってもらっているので、すごくありがたいなと思っています。
振り返ったときに、特別だったと思える期間
僕はいま45歳です。
たぶん、自分の人生を振り返ったときに、いまのこの時間、40代のこの期間というのは、特別だったんだなと思えると思います。
それくらい今は充実しているし、後悔のないように走り抜けています。
だから、自分の時間が取れていないことを、いまは損だと思っていません。期間を決めて賭けているものは、損ではなく投資です。
ただ、これも書いておきます。売上ということで言えば、僕よりすごい方はたくさんいます。 この地元でもそうですし、治療家という中でもそうだと思います。
僕がやっているのは、そこで勝とうとする設計ではありません。自分が「特別だった」と振り返れる時間を、いま作りにいっているという設計です。
あなたはどうですか
この章を読んでいるあなたは、いま何歳で、家族は何歳でしょうか。そして、5年後には何歳になっているでしょうか。
紙に3つ、年齢を並べて書いてみてください。自分、家族、そして5年後の家族。それだけで、いま何に振るべきかが、だいぶ見えてくると思います。
僕が40代で家族に振ると決めたのは、長女が小学6年、次女が小学4年、長男が幼稚園年中だったからです。「もうここしかない」と思える年齢が、目の前にあったからです。
その年齢は、人によって違います。あなたの「ここしかない」は、いつでしょうか。
もしそれが5年後なら、いまは仕事に振ってもいいと思います。もしそれが今年なら、休みを増やすのは今年です。
この章は「休め」という話ではなく、「いつ、何に振るかを自分で決めろ」という話です。
誤解しないでいただきたいこと
ここで大事なのは、「自分の時間を捨てろ」という話ではまったくないということです。
僕がやっているのは、期間を限定した一時的な設計です。「いつ終わるか分からない子どもたちの時期」という、終わりのある期間に賭けている。
そして僕は、この期間が終わったら自分の時間を取るつもりでいます。だから、いま取っていないことに焦りがありません。
危ないのは、期間を決めずに自分の時間をゼロにすることです。それは1年目の僕がやっていた「休みを決めない」と同じ構造になります。
なので、4つの時間の話は、こう読んでください。
4つの時間を、均等に取る必要はない。
どこに何年振るかを、自分で決めていればいい。
僕は40代の10年を、家族に振ると決めました。それは次に書く話です。
10年スパンで、僕の生活は変わってきました


なぜ「期間で決める」と言えるのか。自分の10年ごとを振り返ると、はっきりしています。
20代:仕事120%
20代は、仕事を始めたばかりで本当に仕事120%でした。Jリーグのトレーナーとして、その仕事がもう全て。そこがないときに家族の時間を取る、という形でした。
このタイミングで結婚・出産を経ているんですが、子育てをしたという記憶はほとんどありません。
週末はどこか遠征に行くことが多かったですし、キャンプのときは2週間家にいない、ということも多々ありました。仕事にずっと全力でコミットしている、という人生でした。
30代:開業と地域(青年会議所)
30代になって、こちらに越してきました。32歳だったかな。開業を始め、そして地域での活動がメインになりました。地域は主に青年会議所の活動です。
ここでも、家族は2の次でした。
なぜかというと、地域を変えて、自分は新しい環境に飛び込んだわけです。ここで生きていくには、地域にコミットしていくことが大事だと思っていた。
特に青年会議所は40歳までというリミットが決まっていて、ゴールが決まっていたので、ここはやれる限り全力でやろうということで、仕事以外はほぼ青年会議所をやる、という30代を過ごしました。
40代:家族にコミットすると決めた
40代になって、青年会議所を卒業したタイミングで、自分はこれからどうやって生きていこうかというのを考えました。
そこでふと、自分の家族を振り返ったときに、長女が小学6年、次女が小学4年、長男が幼稚園年中だった。
「あ、もうここしかないな」と思いました。
このタイミングで家族と向き合えなかったら、もう僕は一生、家族と一緒に過ごすことはないんだろうな、と思って、家族にコミットしようということに決めました。
社会の一番小さな社会が家族だと思うんですけど、そこにコミットすると決めて、仕事以外はほぼ全て家族に振る、という人生になりました。
そして、週休3日を今の形に戻したのも、このタイミングです。空いた時間を「自分」ではなく「家族」と「仕事」に振り分けたということです。
40代になって、やめた2つの仕事


時間の使い方が変わると、できること・できないことが出てきます。 やめた仕事を2つ書きます。
① トレーナー帯同
トレーナーはどうしても土日が多いんですよね。 土日が埋まると、家族で過ごす時間が減ってしまう。
これは今の自分の人生の中で、揺るがしてはいけない優先順位なんです。
なので、トレーナー帯同は僕は好きな仕事ですけど、今はやらないようにしています。
② コンサル事業
もう一つ、このe-lifeの一人治療院自立化サポートも、やらないことがあります。それがコンサル事業です。
デジタルコンテンツのみにしています。
理由は2つあって、一つはコンセプトが「一人でできる」ということなので、ここに人がサポートに入っていくと、どうしてもそこに依存関係が生まれるんじゃないか、ということ。
もう一つは、やはり、そこに時間が取られるからです。
デジタルコンテンツにすれば、買った方は自分のタイミングで学ぶことができるし、こちらはこちらで作ってしまえば、あとは時間をそこに割くことはない。そういうことで、デジタルコンテンツしかやらないという形にしています。
好きな仕事を断るという話です
ここは強調させてください。僕がやめた2つは、嫌いな仕事ではありません。
トレーナー帯同は好きな仕事です。コンサルも、やれば収入になるし、たぶん喜ばれます。
それでも断っています。 土日が埋まるから。時間が取られるから。
「ずっと続けられる形にする」というのは、やりたいことを全部やる形を作ることではありません。 どれを置いていくかを決めることです。
そして置いていくものが「嫌なこと」だけで済むなら、誰も悩みません。好きなことを置く決断が要るから、これはマインドの話なんです。
この4つを取るために、前の章がある

そして、ここが大事なところです。この4つの時間は、精神論では取れません。
休んでも成り立つだけの利益が要ります(教科書 第1章・固定費最適化)。数字が読めて、お金の不安が消えている必要があります(第3章・経理税務)。自分がいなくても回る仕組みが要ります(第4章・施術の仕組み化/第5章・システム構築)。そして、それを一人で作るための相棒が要ります(序章・AIエージェント)。

つまり、この教科書の残りの章は全部、この4つの時間を取り戻すための手段です。マインドセットの最後にこれを置いたのは、そういう意味です。
マインドセット3章の関係を、最後に整理します
3つの章は、この順番で読むように作りました。
| 章 | やること | これがないと |
|---|---|---|
| 第1章 お金のブロック | 稼げる状態を作る | 休みを入れる余裕が生まれない |
| 第2章 幸せになれる収入 | どこで止まるかを決める | 稼げるようになった分だけ働いてしまう |
| 第3章 続けられる形 | 止めた分を、時間に変える | 決めた額を守る意味がなくなる |
第1章だけやると、働きすぎます。第1章と第2章までやると、数字は決まりますが、時間は空きません。3つ揃って、やっと「人生の主導権」になります。
僕の12年を、この3章に当てはめると
自分の年表に当てはめると、こうなります。
| 年 | 何をしていたか | どの章か |
|---|---|---|
| 1年目 | 通院指導が言えず、初月6万円。休みも決めていない | 第1章の前 |
| 2年目 | 兄の一言で言えるようになる。89万円 | 第1章 |
| 3年目 | 週休2日+30分+週2回で100万円突破。値上げ | 第1章+第3章 |
| 3〜5年目 | 200万円を追いかけて140万円。関係がギスギス | 第2章の失敗 |
| 40代 | JC卒業。家族に振ると決める。150万円に置き直す | 第2章+第3章 |
| いま | 治療院150万円。それ以外の柱を作っている | 3章が揃った状態 |
僕は12年かけて、この順番を間違えながら通りました。
とくに3〜5年目は、第1章の技術を持ったまま第2章を知らなかった時期です。稼げるようになった人が一番危ない時期がここです。
あなたがこれを先に読めるなら、その3年は短縮できるはずです。この3章を無料で出しているのは、そういう意味です。
よくある3つの誤解
この章も、同じところで誤解されるので先に潰しておきます。
誤解① 「休みを増やせばいい、という話でしょう」
違います。僕は一度、増やしすぎて戻しています。 週休3日から、いまの形(水土は午前営業+日曜休み)に戻しました。
稼働日が4日しかないと、患者さんが1回振り替えたいと言ったときに入れる場所がありません。休みを増やしたせいで、患者さんの回復設計が壊れることがあります。
この章が言っているのは「休みを決めろ」であって「休みを増やせ」ではありません。
誤解② 「売上を犠牲にして休む、という話でしょう」
これも違います。僕は週6日から週5日にして、月商が89万円から100万円を超えました。
減ったのは稼働日で、増えたのは密度です。「時間を増やす」ではなく「密度を上げる」への転換でした。売上の公式に、稼働時間は入っていません。
誤解③ 「祝日も働いているじゃないですか」
その通りです。僕はゴールデンウィークも営業しています。
理由はリズムです。祝日を休むと毎月カレンダーの形が変わって、週1回・8回という通院設計が崩れます。休むべき日は固定して、それ以外は動かさない。休みの設計は、患者さんの回復設計と同じ土台の上にあります。
この章を、一行にすると
休みを、患者さんが見える場所に貼る。
決めただけでは休めません。外に出して、はじめて休みになります。
僕がやっているのは、受付にカレンダーを貼っているだけです。会計のときに全員の目に入る。それだけで、12年回っています。
特別なシステムも、立派な宣言も要りません。紙を1枚、人の目に入る場所に貼る。 それが「休みが患者さんと共有できている」ということです。
逆に言えば、貼っていない休みは、まだ休みになっていません。それは「予約が入らなければ休める日」でしかない。ここだけは、今日のうちに変えられます。
順番を守れない方へ
とはいえ、順番どおりに進まないのが普通です。僕もそうでした。
なので、実務的にはこう考えてください。
- いま売上が足りない → 第1章だけやる。第2章と第3章は読まなくていい
- 売上はあるが、しんどい → 第2章から読む。数字の出どころを疑ってください
- 回っているが、続く気がしない → 第3章です。休みを先に入れてください
3つ同時にやろうとすると、どれも中途半端になります。いま自分がどこにいるかだけ決めて、そこの1章だけやってください。
僕が休み方を変えた、4回の記録

この章で出てきた変更を、一つの表にまとめます。12年で4回変えています。
| 時期 | 形 | 変えた理由 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 休みを決めていない(形だけ日曜休み) | — | 交感神経過緊張・家族関係の悪化 |
| 2年目 | 週6日・日曜は本当に休む | 矛盾に気づいた | 月商89万円で頭打ち |
| 3年目 | 週休2日(水・日) | 年末の疲労+JC委員長就任 | 月商100万円突破(実売上は3ヶ月後) |
| ある時期 | 週休3日(水・土・日) | 地域活動と家族 | 患者さんの振り替えが入らなくなった |
| いま | 月火木金 通常+水土 午前+日曜休み | JC卒業・仕事が好き・振り替え枠が要る | 12年目の現在も継続中 |

この表から読み取ってほしいのは、どの形が正解かではありません。
変えていいということです。
僕は4回変えました。毎回、外の事情がきっかけでした。 疲労が出た。委員長になった。JCを卒業した。子どもたちが競技を始めた。
自分の内側から「そろそろ変えよう」と思って変えたことは、一度もありません。だから、いま形が決まっていない方が焦る必要はありません。 きっかけが来たときに、ちゃんと変えられる状態であればいい。
そして変えた形が合わなければ、戻していい。 僕は週休3日を戻しました。それは失敗ではなく、試したから分かったことです。
休める治療家になる、3ステップ


やることを3つに絞ります。
Step 1|年間のスケジュールに、休みを先に入れる
お盆・年末年始・週何日。年の初めに、先に入れてしまいます。
僕の場合は、毎週(水土の午後・日曜)/毎年(お盆3日・年末年始6日)の2層です。祝日は入れません。祝日を休みにすると毎月形が変わって、通院リズムが崩れるからです。
Step 2|HPと予約システムに反映して、患者さんに共有する
決めただけでは休めません。 外に出して、はじめて休みになります。
僕の場合は、HP・予約システム・受付のカレンダーの3ヶ所です。とくに最後が効きます。会計のときに全員の目に入るからです。
Step 3|守る。1年やってみて、違和感があれば翌年調整する
これが一番大事です。守ってください。 そして、1年やってみて違和感があれば、翌年調整してください。
僕が4回変えているのは、まさにこれをやってきたからです。1年ごとに「これで合っているか」を見る。合っていなければ変える。増やしすぎたら戻す。
そして、順番だけ間違えないでください。
「予約が入らないから休み」ではなく、「先に休みを入れて、その他で稼ぐ」。
これだけで、毎日のしんどさが大きく変わります。
「積極的休養」という形を選んでいます
最後に、僕の休みの中身について書きます。この章で何度か「積極的休養(アクティブレスト)」と書いたので、その説明です。
僕の休みは、じっとしている休みではありません。
日曜は仕事が休みですが、海にいます。水曜と土曜の午後も、ライフセービングか家族の練習です。月曜は身体を休める日ですが、仕事はしています。
つまり、僕の休みは「動かない日」ではなく「仕事から離れる日」です。
これは僕に合っている形であって、万人向けの処方ではありません。 疲労が溜まっているときに動けば、当然逆効果になります。そこは治療家として、ご自身の状態で判断してください。
ただ、一つだけ言えることがあります。「何もしない日」を休みに設定すると、僕の場合は結局スマホで仕事のことを見ていました。
だから僕は、休みに行き先を入れるようにしています。 「休む」ではなく「海に行く」。予定が入っていると、仕事モードから物理的に離れられます。
オンとオフの切り替えは、意志ではなく場所で作るほうが確実でした。これは、この章の最初に書いた「オン/オフを切り替える仕組みが作れているか」への、僕の答えです。
自己チェック:その休みは、あなたが決めましたか

① 休みが決まっているか
- [ ] 毎週の休みが、曜日で固定されている
- [ ] 「予約が入らなかったら休む」になっていない
- [ ] 長期休み(お盆・年末年始)の日数が決まっている

② 患者さんと共有できているか
- [ ] 休みを、患者さんが見られる場所に貼っている
- [ ] 次回の予約を入れるときに、その休みを見ながら入れている
- [ ] 休みの日に電話が鳴っても、出ない決まりになっている
③ 多すぎないか
- [ ] 患者さんが1回振り替えたいと言ったとき、その週に入れる場所がある
- [ ] 週2回で通う方の設計が、自分の稼働日数で成立している
④ 時間の行き先が決まっているか
- [ ] 休みの日に何をするか、決まっている(空けているだけになっていない)
- [ ] 4つの時間(休む・家族・地域・自分)のうち、いまどこに振っているか言える
- [ ] それを何年振るか、自分の中で期間が決まっている
「いいえ」が多かった方へ
①で「いいえ」があれば、そこだけやってください。②③④は後です。
そして③は、休みを増やした人だけが引っかかる項目です。僕は週休3日にして、ここで引っかかりました。順調に休めるようになった方こそ、ここを見てください。
今日やること

手帳を開いて、来月の休みを先に入れてください。予約が埋まってから休みを探すのではなく、休みを先に置いてから、予約を入れる。
そのうえで、3つだけ足してください。

- その休みを、患者さんが見える場所に貼る。 紙でいいです。僕は受付にカレンダーを貼っているだけです
- 入れた休みで、週2回通う患者さんが振り替えられるか確認する。 入れる場所がなければ、休みが多すぎます
- その休みに何をするか、1行書く。 「休む」ではなく「海」「子どもの練習」「家族と夕食」。空けるだけでは、埋まります
順番を逆にするだけで、続けられる形に一歩近づきます。
そして、この教科書の残りの章を読み進めてください。この3つの章は「なぜやるのか」の話でした。ここから先は「どうやるのか」の話です。
最後に、一つだけ
僕がこの3章を無料で公開しているのは、ここが一番お金にならない部分だからです。
固定費の削り方や、予約システムの作り方は、手順があります。やれば結果が出ます。だから教材として売れます。
でもマインドの話は、読んでも何も起きません。明日、目の前の患者さんに一言言うかどうか。 それだけが分かれ目です。僕が12年かけて学んだのは、結局そこでした。
技術の話は、この先の章でいくらでもします。でも、この3つの章に書いたことが先です。
順番を、間違えないでください。
僕は間違えました。1年目に通院指導を言えず、3年目に数字に囚われ、途中で休みを増やしすぎました。全部、あとから直せました。
だから、いまどこでつまずいていても大丈夫です。続けられる形にすれば、直す時間は必ずあります。
逆に言えば、続けられない形のまま走ると、直す時間が来る前に終わります。 1年目の僕は、通帳の残高が100万円を切るまで気づけませんでした。
まず、来月の休みを入れてください。 そこから始めれば、あとは全部やり直せます。
売上も、値上げも、仕組み化も、あとから間に合います。間に合わないのは、身体を壊したときだけです。1年目の僕が交感神経過緊張のまま臨床に立っていたのは、いま思えばいちばん危ないところでした。患者さんに自律神経の話をしながら、自分がそうなっていた。
順番として、いちばん先に守るべきなのは、あなた自身の身体です。
12年やってきて、いまも現場に立てています。特別なことはしていません。休みを先に決めて、それを患者さんに伝えて、守ってきただけです。
だから、あなたにもできます。